〜風呂場掃除中に倒れ、発見は6時間後〜
(うつ病気味の故人の病気は心臓病)
お隣の奥さんが急逝しました。
昨日(6月18日)帰宅しますと「お隣のSさんの奥さんが亡くなった」と告げられ、そのまま服も着替えずお隣を訪問しますと、目を真っ赤に晴らしたご主人が「妻が死にました、線香をあげ、顔を見てあげてください」祭壇の後ろに北枕で横たわる故人に最後の挨拶を送りながら、冥福を祈りました。
死因は急性心筋梗塞のようでした。
このお隣はご夫婦二人だけの家族で、ご主人は76歳ですが、生家が魚の干物製造所で、そこを責任者として切り回しているものですから、毎日朝早くから仕事に出かけています。
このご主人の話によりますと。
亡くなったその日も、早朝に出かけ午後4時ごろ帰宅したが、いつもいる奥さんが見えず、多分使いにでも行っていると思い、しばらく横になるうちに眠ってしまい、目が覚めたのが午後6時、それでも奥さんが見当たらないので、どうかしたのかと家中を探し、風呂場の空の浴槽の中で倒れている奥さんを発見、しかしその時はすでにこの世の人ではなかったようです。
緊急に119番へ連絡、救急車が来ても手の施しようがなく、やがて警察医が来て死亡診断となり、急性冠状症候群すなわち急性心筋梗塞が死因となったようです。72歳でした。
死亡推定時刻は昼の12時、発見が午後6時ですから、これはどうすることも出来ません。
「死水もとってやれないで、かわいそうでした」
ご主人の嘆きも理解できますが、人間の臨終など誰も分からず、誰も予測できるものではなく、死は突然に起こるものです。
亡くなられたご本人には、死の何日前か、あるいは何ヶ月前かに,何かの前兆があったかもしれません。しかしそれを死の予告だと感じる人も少ないかもしれません。
ただ、故人になられた奥さんは、ここ数年健康体でなかったことは確かです。
私もすべてを知っているわけではありませんが、うつ病で絶えず不定愁訴症状の傾向と、動脈硬化現象があったことは確かです。また心臓も丈夫でなかったともいえます。
家事の最中、気分が悪くなったり、めまいがしたり、異常な肩こりがあったり、いたたまれない不安症に陥ったりで、救急車を呼んで緊急入院した経験が、ここ2〜3年の間に4〜5回あります。
「奥さんはいかがですか」あるときの入院の直後、ご主人に聞きますと
「いやたいしたことないんだが、本人が病気と思い込んでるんで、救急車など呼んで騒がせてすいません」との答えが返ってきました。
ご近所の方の話によると、神経衰弱気味でまともに話が出来ない状態だったと言います。
私も数ヶ月前偶然に本人にお会いし「お体どうですか」の問いに「ありがとうございます、血圧が高く医者は動脈硬化だから気をつけるように、と言われます、だが肩こりと重い痛みがあったり、時々気分が悪くなり立ちくらみするので、救急車呼んで騒がせて申し訳ない」としっかりした答え方をしましたので、そのときは神経が安定していたのでしょう。
ただし、顔色も悪く健康な感じはなく、内臓に何か疾患があるのではないかと、疑った記憶があります。
そんな病歴があって、今日の逝去に繋がっていたので、聴いた瞬間やっぱりと感じましたが、その死が突然だったとは考えませんでした。
話は変わりますが、あるとき友人同士で自分たちの臨終状態を語ったとき、だれ言うとなく「生きているうちはピンピン丈夫でいて、死ぬときはコロッと死にたい。ピンピンコロリが理想」などが一番だとの話になったことがあります。
「その死に方の条件は、心臓病発作だな、同じ血管系の病気でも、脳梗塞、脳溢血は生きてたら後遺症が心配だが、心臓なら一発であの世行きだ」病気の種類まで話題になったほどです。
ご存知のよう現在、死亡原因の1位は癌ですが、2、3位は心臓病と脳血管障害です。
これらの病気は年齢と大いに関係し、また生活習慣とも密接に関係しますので、防ごうと思ったら防げる病気であるかもしれませんが、今現在上位であるということは、人間の細胞や血管は年とともに弱く、もろく、ちょっとした刺激や攻撃に影響しやすくなっている証拠でしょう。
私も、ここ10年ぐらいの間に、同年輩の友人を多く死なせていますが、そのほとんどがこの3大死亡原因が圧倒的です。
もっとも、癌を宣言されながら、5年6年と存命の友人もいますし、心筋梗塞で血管にステント(金属パイプ)を使用して、元気に働いている人間もいれば「一度死んだ命、これからは世の中のために」と、張り切ってボランティア活動に従事してる友人もいます。
ただ脳梗塞、脳出血の友人の中の多くが、病床生活を送ったり、またはリハビリ生活で難渋している現実があります。
この3大疾患の発病は、どれも死との隣り合わせの重いものですが、その中でも発見が早く手当てが上手に行けば、心筋梗塞は意外と長生きできる病気かもしれません。
もっとも癌の早期発見も、発生場所により、あらゆる方法の手当てがあり、切除から放射線、抗がん剤とその後の、生活の質に支障をきたさず、命をまっとうできますが、心臓の血管が詰まる心筋梗塞の方が、現在では治療法が確立し、成功例も多く、術後のQuality of life(生活の質)に影響ないようです。
友人の中には、心筋に走る動脈3本にステントが入っているのだ、と威張って病状を開示しているのもいますし、施術をしてからのほうが体調がよくなって、生活が楽しいと述べる50代半ばの友人もいます。
こう見ますと、お隣の奥さんも、心臓の状態を精密検査し、その状態によって対処していたらと思わざるを得ません。
左肩から顎にかけての凝り、じんわりとした痛み、動悸や息切れ、異常な発汗、頭の重い感じとめまい、こんな症状が故人にもあったのでしょうが、不定愁訴からくる症状と等閑視したのでしょう。
しかし、急性の発作があって心臓が停止、多分風呂場の掃除中に起こり、その場が臨終の場所となりましたが、家の中いつも生活している場所、それも家事行動の最中で最後のときを過ごしたことは、本望でしょう。
私たち友人間で話す、コロリと死んだことになりますが、それまでがピンピンであったかどうかは分かりません。