〜胃がんの心配から受けた検査結果〜
(加齢から来る粘膜の弛緩と食道ヘルニア)
今年(2012年)の春ごろから、ときどき思い出したように「胸やけ」「胃腸の不快感」「みぞおち右上部の痛み」「腹部の膨満感」時としては「嘔吐感」などが発生し、気分がすぐれないときがありました。
こんな症状は毎日出るわけではなく、1週間に一回とか、2日に一度とか、たまには急激に襲ってきましたが、といって長時間異常を感じることなく、数分で正常になってしまい、そのあとは何で胸焼けをしたのか忘れるほど軽い症状でした。
それが、暑さが日増しに増す7月にはいってから、胃腸か食道に異常があるのではないかと思うほど、長い時間不快感が増えてきました。
ことに右の上腹部に、ずっしとした重い感じの違和感があり、そこの胃壁に何かただならぬものが、出来たのではないかとの妄想も沸きました。
そもそも子供の頃から胃腸は余り丈夫な方でなく、何か変わったものを食べると下痢をしたり、腹痛を起こしたりして「この子のおなかはひ弱な性質(たち)だ」と母親にも言われたことがあるくらい、どちらかといいますと胃腸は敏感な方でした。
それが大人になって社会人になっても、少しの食べすぎ飲みすぎでも、胃腸を壊し絶食をしたり、売薬を飲んで治したりが日常でした。
それほどでしたら、医者にかかってその症状を質したらよいとお考えでしょうが、私自身は医者にかかるほど重症とは思っていませんので、市販の胃腸薬の厄介になり、やがて切っても切れない縁となり、飲み続けた経験が長く、胃腸薬は正に体調を整える必須な常備薬でした。
胃腸の不快感は、生活習慣に原因があるといいます。
中でも食べ過ぎ飲みすぎ、刺激性の強いもの、肉類などの高蛋白、高脂肪の食品の多食など、いろいろ原因がるようですが、最も悪い習慣は喫煙と精神的ストレスのようでした。
私も30歳ぐらいまでは喫煙をしていましたし、若いときは少しの失敗でも強いストレスになっていたようで、その都度食欲が低下し、胸が痞(つか)える症状がでたりして、それらが胃腸薬の常食の原因のような気がします。
さてそんな胃腸の持ち主でしたが、ここ10数年胃腸があることを意識せず、まったく順調な消化活動で、平穏な生活が続いていました。
その要因ははっきり証明できませんが16年前、総胆管結石で胆嚢を摘出したことと、私どもが開発した大豆胚芽を酵素触媒の「バイタリンZ」を飲むようになってか、胃腸の不快感がすっかり鳴りを潜めたようでした。
胆管と胆嚢に結石があり、病状としての痛みと、胆汁流動が順調でなく、消化不良を起こしていたので、それを摘出したのですから症状が消えたのも一因かもしれず、また大豆発酵物は胃腸の活動を活発にする機能性を付加してありましたので、胃壁も腸管の絨毛もすこぶる元気になっていたのでしょう。
それがこの春ごろから、胃袋と食道が胸苦しくなる症状が顕著に感じるようになったので、主治医にその症状を告げ、「年齢が年齢ですし、がんの心配もしなければならず、はたしてこの胸やけが何で起っているのか、精密に検査したいと」お願いし、上部内視鏡検査が可能な大病院を紹介され、胃カメラを飲む検査日取りを決めました。
それが8月上旬、大病院の医師はさらに「この際胃カメラ検査だけでなく、消化器関連臓器の超音波検査も一緒に行いましょう、そうすればあなたの不快な症状が何から来ているかはっきり分かります」と進められ、胃カメラの検査の1週間後行う段取りになりました。
この上部消化管内視鏡検査で判ることは、まず悪性腫瘍(がん)の発見から、胃炎、粘膜壁の異常、胃酸過多、胃下垂、胃の位置の正常不正常、神経性胃炎、びらん性胃炎、軽い炎症の表層性胃炎、萎縮性胃炎、ポリープなどと、さらに十二指腸の異常、食道の異常までも同時にチェックできることが優れています。
それだけに検査を積極的に受け入れる、心身の準備も出来ていました。
ところで胃カメラの検査は、今回でたしか5回目と記憶します。
第一回目は30年前頃、胃腸の調子は相変わらず不調で、無理をしますと傷んだりしていた頃で、高尿酸治療で通ってた病院で、念のため検査をしてもらいました。
最先端のカメラも今より大きく、道入管も太く、飲み込むとき大変苦しい思いをした検査でしたが、胃壁に少しただれがあるが別に異常なしとの診断で、その検査の結果で治療を施すことはありませんでした。
2回目、3回目は胆管胆嚢摘出手術前の精密検査と、手術後だいぶたって術後の胃の再検査をした時胃カメラを飲みました。
横向きになった私の位置から、映像を映し出すモニター画面が直接見えましたので、胃の中の皮膜の状態と、かすかに赤く膨らんだ胃壁から、幽門部に繋がる胃の下部まで、不思議な感覚で眺めていました。
4回目は3年前、検便検査に潜血反応が出たということで、今回の検査を行う同じ大病院で、大腸の内視鏡カメラ検査と胃カメラ検査を旬日の間に受け、がんの心配をしましたので、異常がないといわれ、安心したのがついこの間です。
そして今回が5回目です。
高齢者の中には、この内視鏡検査を受けられた方が多いと思いますが、終わってみればどうと言うことのない胃カメラですが、診察台にあがるまでは、どうしても緊張と心配がつき物、人によっては怖い、苦しい、つらいと感じる人もいるはずです。
「高血圧のかたは、必ず血圧降下剤を飲んでください」注意書きにあるように検査を受けるには、直前に血圧測定し、もし異常に高ければ胃カメラを飲むことが出来ません。
血圧が異常ですとその影響がより強度に反映し、正常な判定が出来ないのでしょう。
それだけ胃壁の粘膜は敏感なもので、血圧だけでなく、精神的にも緊張すると胃壁は収縮を繰りかし、場合によっては胃酸の分泌を多くします。
人間の体の中でもっとも神経質なのは、頭脳や心臓でなく胃腸かもしれません。
医療器具は日進月歩で、胃カメラも導入管も小さく細くなってきていますが、胃の中に異物を挿入することには違いありません。
本能的に異物に対する拒絶反応として、のど(咽頭)は嘔吐反応をします。
それがため胃カメラを飲む前に、のどに麻酔をかけ拒絶反応を麻痺させます。
麻酔の方法はいろいろあるようですが、この病院ではスプレーでした。
口が閉まらないようプラスチック製の輪をはめられ、静かに食道を通過するカメラの先端を意識している間に、すでに胃壁の診断が始まっていたようです。
残念なことにこの病院の映像モニターは、私の頭上にありみることができません。
「少し胃壁がただれています。びらん状態が見られますが大きな問題ではないです。またポリープがいくつかありますがこれも良性ですので大丈夫です」
見たままを教えてくださいとお願いしましたので、検査技師は素直にカメラに映し出された映像の状態を私に伝えます。
私が心配したがんの初期症状もない様で、カメラが下部に進んでいることを感じながら、まず安堵しながら、検査の終わるのを待ちました。
翌週内臓の超音波検査も終り、胃カメラ検査後10日目に、担当医との診断結果の報告を受ける面談に望みました。
パソコンのモニターに映し出された私の胃の内部写真を見ながら
「ここに赤く丸い状態でただれが出来ていますし、その横にも赤いびらん状態が見られますが、全体として心配はありません。もっと詳しい報告は主治医のほうに手紙で送りますから、お聞きください」
胸やけや胃の膨満感などの原因には触れず、すべて主治医と相談してくださいとなりました。
「診断中ポリープの存在を聞きましたが」
「これも心配ありません。歳をとりますと若干このポリープが増えてきますが、別に問題がありません、しかし念のために毎年1回は胃カメラを飲まれることを進めます」
これで大病院での診断結果は終り、その一週間後主治医のKさんに、検査結果の詳しいという報告を聞きにいきました。
「胃の上部、噴門に当たるあたり食道との境ですが、そこに少しヘルニアが出来ていて、胃酸がそこへ逆流する『逆流性食道炎』の軽いのでしょう。加齢により粘膜が弱くなり、ヘルニアが出来ることが多いよ、もし症状が我慢できないようでしたら制酸剤がありますが」
「我慢できないほどではないので、薬は止めましょう、がんがないことが判っただけで充分、ただし80歳を越え、加齢によるポリープの出現といい、ヘルニアといい、年には勝てないということですか。これからそんな意識で、毎年1回は胃カメラ診察をしようと思う」
「それがいいですよ」
こんな会話を交わし、上部消化管内視鏡検査は結果「逆流性食道炎」ということで結論が出ました。
さてこれからは、この逆流性食道炎と言う加齢による持病との付き合いが始まることになります。
さてさてこんな病気と、その症状は次回にゆっくり述べましょう。