糖尿病と高齢者

〜加齢にしたがって増加する糖尿病〜
(活性酸素対策も大切な糖尿病対策)

60歳を過ぎた頃より「糖尿病の気があるので、食事の量と内容に気をつけているのだ」食事を一緒にする会合などで、こんな話をする同年輩の友人や知人が多くなったような気がします。

この傾向は男性女性の別なく、時として糖尿病対策の話が主題になったこともあるくらいです。

そんな話題に参加する人は、糖尿病の初期かあるいは予備軍で、生活態度を変えることで、病状が悪化することを防げる人たちが多く、慢性病にならない可能性があるので、話には緊迫感をあまり感じませんでした。

その人たちも、60歳過ぎてから急に血糖値に問題が生じたのではなく、それ以前から隠れ糖尿病として、血液中の糖分が若干高かったのを、自覚症状もなく、また若いのであまり注意も払わないでいて、高齢になって血液検査などで血糖値の高さが顕著に目立つようになり、あるいは医者に指摘され驚いて、食事療法などの生活習慣を取り入れたものと思われます。

それだけ糖尿病は、罹っている本人がまったく気がつかないうちに、静かに進行している病気で、いつの間にか採血検査の数値が規定より常時高く、はじめてその異常に気付く人が圧倒的です。

しかし、異常に気付いたときは、かなり進んでいて、その血糖値を正常に戻すにはかなりの努力を必要となります。

ことに、50歳過ぎの老齢初期、体の細胞や機能が少し衰えてきてから、高血糖を低くしようとするには、食事コントロールだけでなく、適正な運動などで余分なカロリーを燃焼させるなど、徹底しない限り、効果は少ないようです。

まして食生活が若いときと同じだと、体を動かす運動量も少なくなり、基礎代謝も減少するので、摂取カロリーを代謝消費するのが飽和状態となり、余分な脂肪がたまり体重がプラスする、よく言うメタボ(Metablic syndrome)の体質となり、糖尿病だけでなく、すべての生活習慣病の危険が予測されます。

さらに中高年のメタボリック症候群の人に多く見られる、高血圧、高脂血症に高血糖、それに喫煙習慣が加わへた4大因子を抱える人の、抹消血管障害(PAD)の発生率は俄然高くなります。

この異常が見つかった人の43%は糖尿病が発生しています。

それと比べて、メタボがなく4大因子の危険がない正常者の糖尿病発生率は7%と低く、その相違は6倍になります。

まして、加齢に伴って肉体を防御している諸機能が低下し、ことに免疫力の減少は顕著で、その中でも悪玉酸素と言われる、活性酸素のフリーラジカル(Free radical)を消去防御する、SOD(Superoxide dismutase)酵素の体内での生産低下は著しく、活性酸素に侵される細胞が増えます。

それがため、インスリン生産の膵臓機能ランゲルハンス島を攻撃するフリーラジカルを、積極的に防御できず、インスリンの製造機能が犯され、インスリン不足となり、糖尿病誘発の原因にもなっているようです。

さらに活性酸素は血管内の脂質を酸化させ、動脈硬化の要因となり、血液の循環にも支障を生じますと、血管内の糖代謝促進は支障をきたし、これらのことが総合的に作用し、糖尿病をより進行させますので、このフリーラジカル活性酸素は、直接的、間接的にかなり影響していると思われます。

このように糖尿病発生と進行は、悪い生活習慣と、加齢による活性酸素除去能力低下が、遠因になっているとも考えられます。

統計的にもそのことが頷けるよう、40代男性の糖尿病発生率は8%に対し、60代になりますと22.6%と急増します。女性も40代の3.6%に対し60代は13.5%と増えます。

ことに女性の健康機能は、性ホルモンとの関係が密接で、閉経後は急激に体質が変わり、男性以上に肉体を守る諸機能の低下がはなはだしく、高齢者の糖尿病患者急増も頷けます。

そもそも日本人は、糖尿病になやすい体質で、血液中の糖分を分解しエネルギーとして代謝させるインスリンの分泌量が他の国の民族より低く、糖尿病になりやすい民族と言われています。

2011年の統計数字を見ますと、糖尿病患者と疑われている人の総数は1070万人と言われています。

これは成人人口の11.2%に当たる数字となり、それに加え糖尿病といわれないが、その気配がある予備軍を合わせますと2200万を越えるようです。

全人口の18%、成人の23%が糖尿病とその予備軍ということになります。

この数字は世界の民族でもっとも糖尿病率が高いと言われる、太平洋諸島の
キリバスやマーシャル群島などの国々と、肩を並べるほどです。

日本人がこんなに糖尿病率が高くなったのは、いつ頃なのか分かりませんが、私の記憶では第二次大戦中、あるいは戦後何年間の食糧難の時代、糖尿病患者はあまり聞かれなかったです。

それがいつの間にか、食生活が豊かになり、カロリー過剰な欧米型の食事に変わり、交通機関の発達による、歩くことが少ない運動不足も手伝って、どうしても摂取カロリーと消費カロリーのアンバランスが目立つようになり、太りやすく糖尿病になりやすい、日本人の体質に変わってきたようです。

この傾向は中国にも見られます。

昨年10月中国訪問時に、彼の地の人たちから糖尿病患者の増加が話題になったことを記憶しています。

確か現在、政府が公式に発表している糖尿病患者数は、9000万人を越え、世界一の患者数になっているようですが、そのとき聞いた話では、予備軍を入れると1億5000万から2億人をゆうに越える数字になるとの話でした。

当然世界ナンバーワンの糖尿病患者数です。

ちなみに2位はインドの6300万人、3位はアメリカの2410万人で、患者数から言いますと日本は6番目ですが、人口割合の発生率では1位で、ありがたくない順位です。

さて中国の糖尿病増加の原因は、最近の目覚しい経済的発展で、食生活が豊かになり、飽食の食文化が日常となった結果でしょう。

肉の消費量だけでも世界の40%を消費している話は、昨年このメールマガジンでも発表しました。

さらに中国も日本と同様に、高齢人口が増えてきたことも糖尿病患者の増加が目立つようになった要因の一つでしょう。

高齢になると増える糖尿病の原因の一つに、活性酸素とインスリンの関係を述べましたが、もう一つ老人特有の肉体的状況があります。

それは空腹時の血糖値が正常でも、食後の血糖値が急激に高くなりやすいことです。

この傾向を生むのはインスリンの分泌が老化によりさらに低下し、働きが悪くなって、血液中の血糖が代謝されず、そんな繰り返しが、真性の糖尿病に移行する恐れを高くしているからです。

実際日本の糖尿病患者数のうち62%が60歳以上の高齢者で、1兆2000万円の医療費となるようです。

もう一つ困ることは、高齢者の糖尿病は慢性化し治りにくく、さらに合併症を引き起こし重症化する嫌いがあることです。

糖尿病による死亡が年約8万人、そのほとんどが高齢者ということになります。

故人となった私の友人にも、深刻な病気発生原因の引き金が糖尿病と思われ、がん、脳梗塞、心筋梗塞、肺炎、腎不全などの病気で死亡している者が多いです。

なかには、糖尿病から来る神経症状が発生、手足の痺れから、肩、首、顔面などの痛さと痺れで苦しみ、最後は肝臓機能停止で故人になったものもいます。

腎不全は完全に糖尿病が原因でしょうし、心不全、脳卒中なども、動脈硬化の進行と、血液の脂質が高くなったのも、糖尿病と合併していたので、発病しやすかったようです。

昨年10月大腸がんで亡くなったOさんの場合も、血糖値が400近い真性の糖尿病だったので、あらゆる抗がん剤の効果を阻害し、また病状進行を早めたようです。

そのとき、活性酸素除去能力の高い、私どもが生産している大豆のタンパク製剤を彼は積極的に摂取し、一時は血糖値は医者が目を見張るほど改善されましたが、その時は進行性がん細胞が、彼の内臓を破壊し手遅れでした。

もっと早く、がん発生前から摂取し、少なくとも糖尿病を抑えていたら、もっと違った結果になっていただろうと思われます。

この、活性酸素と糖尿病は目に見えない因果な負の関係を持ち、活性酸素に弱い膵臓のB細胞が犯され、インスリンが少なく糖尿病となり、その糖尿病があるため、動脈硬化を促進させ、がん細胞を誘発する引き金にもなる、活性酸素をたくさん生むようです。

まして高齢者ですと、この活性酸素は二重三重にもあらゆる病気の引き金になり、生活習慣病全ての発生原因となり、とりわけ糖尿病の危険性は倍加することを、私たちは注意しなければいけません。

そんな考えから、私の親しい友人たちには、わが社で開発した大豆の抗酸化能力の高い、大豆ペプチド製剤を積極的に進め、インスリンの働きに支障のない、糖尿病にならない対策を進めています。

こんな友人たちは、私を含め80歳過ぎても無病息災、美味しいお酒を飲みながら、お互いの健康を讃(たた)えあっています。

いずれにしろ、高齢になったら抗酸化力のある食品と、サプリメントを摂ることを心がければ、糖尿病の苦しみとつらさは経験しなくなるでしょう。