前立腺肥大

〜男性機能低下がもたらす加齢症状〜
(増え続ける患者数)

「前立腺が大きくなる肥大症で、ガンの心配はありません」

横浜市の西部にあるので「S大学西部病院」と言う、医科大学の泌尿器科の診察室で、若く物言いがはっきりした若い医者の言葉は、私に一応の安心感を与えました。

「80歳過ぎますと、70%ぐらいの人は、前立腺が大きくなる、いや100%の人が若いときよりも大きくなることはたしかで、だからそれが病気と決め付けられません」

聞いている患者としては頼もしい診断結果です。

「あなたの場合も強いて病名を言えば『前立腺肥大症』となります。だが尿の排泄などで生活に支障が無いなら、肥大したこのままの状態で様子を見ることを勧めます」

「夜間のトイレの回数も平均1回ぐらいのですし、昼間も多いとは思いますが切迫尿意もそれほど多いとは思いません、排尿も普通です」

2週間前の問診のときの私の答えを参考にして、この症状の対処法について、こんな答えを出したのでしょう。

眼の前にスクリーンに映し出された、1週間前検査した超音波診断の映像を見ながら「前立腺の大きさは43.2ml、約2倍近く大きくなっていますが、80歳越えますとこのくらいの人は多いです。PSAの数値も4.46は気にする数値では無いです」

「悪性腫瘍の陰がなければ、私も安心です」

「この映像を見る限りその心配はありません。もしガンが発見されても80歳以上ですと手術はしません。また進捗も遅いので、ガンが命を脅かすには20年、30年かかりますので、よほど長寿で120歳ぐらいになりますと影響するかもしれません」

そんな冗談も飛び出すような、陽気な健診報告です。

さて、この病院での精密検査を行うことになったのは、今年6月末に年2回自主的に行っている血液の生化学検査で「PSA値が4を越えたので、一度精密検査をしましょう」主治医のK医師から紹介状を貰いこの大病院に診察を仰いだからです。

そもそもPSA値とは何でしょうか、私も老境に入ってから同年代の友人たちの話題に、このPSAなる英語の頭文字3字が飛び出すようになりました。

正式名は「前立腺特異抗原(Prastatic Specific Antigen)」と言い、肥大やガン化などで前立腺組織から出る分泌線の細胞が萎縮し、血液中に流れ出た分泌液のタンパク質を特別な抗原を使って出した数値です。

その数値が血液1ml中に4ナノグラム以下であれば問題ないが、それを超えた場合前立腺に異常が発生した証明となるようです。

なかには10ナノグラム以上70〜80になる患者もいるようです。

ちなみに私も毎年一度はこのPSA検査を行い、昨年2012年までは高くて3.6ぐらい、70歳代は3以下の数値でした。

私の友人たちがPSAの数値が高いことを心配する話の中、健康に対する優越感を持って聞いていた私のPSA数値が、4を越えたことで少し心配になったことはたしかです。

この前立腺はもちろん男性特有の臓器で、本来は生殖機能と関係する役割を担っているようです。

科学者の間でもその役割の完璧な解明は出来ていないようですが、精嚢から出る精子を保護し栄養をつけさせる成分があり、酸性度の高い膣口内で精子が負けないように、応援する前立腺分泌液は大切のようです。

ところが生殖機能の衰える加齢になると、これは邪魔者でしかありません。

機能が発揮できないまま、肥大したり中にはガンを発生するのものもある厄介者となります。

その昔、食事が貧しかった日本人の男性は、機能のなくなった前立腺は萎縮し、肥大することは少なかったようですが、最近の栄養事情からか、加齢になっても精力が強くなったのか、萎縮することなくがんばり続けるので、肥大が多くなったと言う学説もあります。

その証拠には、この30年くらいの間に、前立腺のガンと肥大症の患者は、10倍ぐらいに増えていることはたしかです。

ただ困ることは、この臓器は尿道を挟むよう、栗のような形で双方についていますので、大きくなると尿道を圧迫し、小水が順調でなくなる弊害が目立ち、頻尿、尿もらし、排尿障害、残尿管などさまざまの症状が現れることです。

幸い私はこの排尿で困りませんし、また肥大していると言われても症状を感じません。

さらに言えば昨年までPSAの数値が低かったのは、私たちが製造する大豆の胚芽を酵素触媒し、バイオ処理したたイソフラボンの抗酸化食品を食べていたことが、効果があったと思っています。

また現在も、継続して飲んでいますので、年齢よりは元気だと自分でも思ってもいますが

「若いですね、81歳には思えない」病院の若い担当医が始めて会った初回の診察のとき、私にかけた言葉ですが、言われれば悪い気はしません。

また診断の結果を報告するときも

「老人に思えない、この元気ですので、少しぐらいの前立腺肥大は問題ないですよ。またおそらくガン化しないと思います、もし排尿障害が出るようでしたら、また相談しましょう」

うれしい言葉の連続は、私をますます元気付けます。

逆にまだ前立腺は活発に活動しているとしたら、私の生殖機能は健在であると言うことです。

ものは考え方、見方の違いで良くも悪くもなります。

いずれにしても、男性のガンのなかで、肺ガンに続いて多い前立腺ガンでなかったことが、まずひと安心でした。

8月7日、一昨日の話です。