〜インフルエンザをどう防ぐか〜
(寒暖の差が突然死を招く)
節分も過ぎ暦の上では立春ですが、まだ気候は冬に逆戻りの日も多くあります。
そこで少し遅まきですが、ことに老人の冬の健康管理の注意点に触れたいと
思います。
突然死
寒い冬は年寄りにはきついです。
体も緊張して寒さを防ぐために、血液循環がいそがしく、血管に負担がかかることも多い時期のようです。
肉体的にも気持ちの上でも絶えず緊張が強いられるので、健康維持を考えたとき私は、冬の季節はあまり好きではありません。
ことに70歳を過ぎたころより、体感的に冬の寒さが生活のリズムを壊し、一日24時間の生活パターンが寒さに影響されています。
それは必然的に、寒さから肉体を守ろうとする自衛反応のようなもので、意識して注意をしている行動ではないようです。
たとえば、早朝の目覚め後の床離れが悪いです。
冷え冷えとした室内の空気にさらされることを嫌い、体と気持ちが起床させることを躊躇させるのです。
部屋の暖房を入れても、温かくなるには数分間はかかります、その間に体が寒さを感じ冷えます。
目覚めると習慣的にトイレに行きたくなります。
もっとも小水が溜り、我慢できなくてトイレに行かざるを得なくなります。
その時、寒さに耐えきれなくなります。
健康のガイドブックには、こんな時肉体的にも精神的にも交感神経の働きで、血管が収縮し寒さを防ごうとしますから血圧は急激に上がり、老人には血管疾患の危険が迫るようです。
不幸にもそれが原因で突然死の発生が起きるのも冬です。
このように冬は、四季の中では最も突然死の多い季節で、それは寒さからきます。
ことに循環器に異常がある人や、高血圧、高脂血症の人は要注意。
その危険は、早朝の寒さだけでなく、外気温と体温が急激に変化する入浴時なども、最も注意の必要な行為です。
入浴は一日の疲れを心身から解放するので日本人の多くが大好きで、中でも老人は、冬の寒さの対応策として好みます。
本来は温かく気持ちの良い入浴で、副交感神経が働き、肉体的にも精神的にもリラックスするはずが、脱衣した瞬間の寒さで受けた緊張と、湯につかった温かさの温度差が肉体に伝わり、急激な温度変化に対応しようとして、逆に交感神経が活発に働いてしまいます。
緊張した肉体と血管がそれに反応して、収縮と弛緩を急激に行い、血圧がそれに連動して上下しますので、これが問題になります。
このように血圧の上昇と下降が急激に短時間に起こりますと、心臓と血管に異常な負担がかかります。
血圧の急激な上下動は、虚血性心疾患や心臓に心室細動が起こりやすく、血栓が血管内に飛び梗塞の危険が高まります。
また、血液中の遊離脂肪酸が増加し、血液の循環が悪くなり、これも血管を詰まらせます。
ですから、入浴中血管障害と心臓不全で死亡する方が、ことに冬に多発するようです。
熱い温度の湯を避け、ぬるま湯で長時間という入浴法もありますが、老人には発汗過多になりこれも危険で、20分を超えない入浴時間にしたいものです。
可能ならば脱衣室も加温し、急激な温度変化を起こさせない、浴槽に入る前に体に湯をかけ、徐々に体を温めるなど工夫も大切です。
さらに湯上りに体が急激に冷えないよう室内の温度も調節しましょう。
インフルエンザ
さて、またまたインフルエンザ流行の季節になりました。
最近のインフルエンザは季節に関係なく発生するようですが、なんといっても寒くて空気の乾燥している冬が大発生する条件がそろいます。
ことに集団感染することが顕著で、学校や職場などで感染者が出ると、たちまち周囲に拡散します。
それだけ防御の難しいウイルス性の感染で、うがいに手洗いマスクなどで防御しても、なかなか感染を止められません。
ワクチンを接種してるから大丈夫という人もいますが、中学生から65歳位までのワクチン効果は70−90%と高いですが、65歳以上の老人になりますと30−70%と免疫抗体率は下がります。
まして幼児、小学学童など0.25mlの一回接種では抗体が上がらず、二回接種が望ましいといわれるのがワクチンの性質です。
ワクチンが万全ではないということ、また今年流行のインフルエンザの株がワクチン株と同じなら効きますが、新しいウイルスの種類ですと、ワクチン効果はありません。
しかし、老人は同じインフルエンザかどうかの心配よりも、予防接種をしておいた方がより安全で、防げる確率も高いです。
もっともワクチンもせず、特別の風邪対策もしないのに、インフルエンザにも一般の風邪にも罹ったこともない老人もたくさんいます。
そんな人の生活態度を見てみますと、一日の生活習慣を同じリズムで行っている人で、ことに睡眠は十分とり、食事もバランスがとれ、排便も順調、ストレスが少なく、何か目的を持って社会生活をしているような人が、平均して風邪に強いようです。
これは余談ですが、老人は長い年月の生活の中、何回かインフルエンザに罹患し、発病したり、また感染を知らない間に治癒することもあり、それらのウイルス感染が、抗体という形で体の中に免疫を作っている場合があり、意外とインフルエンザの発症しない人もいるようです。
しかし、これなどは偶然で、すべての老人がそうとは言いませんが、ある調査によると40%近い人が何らかの抗体を持っているとの統計もあります。
でも安心は禁物で、これまでにインフルエンザが原因でなくなる比率は、65歳以下の壮年者と比べ、5倍以上死亡率が高いのが老人です。
さて、インフルエンザに強い体質を持つことも大切です。
私は過去免疫抗体の高い人と低い人のことについて、このメルマガで何回かにわたって述べています。
本来持っている体質とか、遺伝的性質にもよりますが、生活が規則正しく適当に体を動かし、胃腸の働きが健全な人は、インフルエンザと季節性の風邪にも強いです。
それは腸管でリンパ球やIg抗体(免疫ガンマグロブリン)を作る働きが高いので、健康的な腸を持つことが大切なのです。
インフルエンザや風邪のウイルスだけでなく、ほかのウイルス性疾患やバクテリアによる感染症を防ぐにも、腸管で作る免疫抗体が大切です。
インフルエンザを例にとると、ウイルスは感染後すぐに細胞内に侵入、細胞の核酸を解体し、その核酸を複製しウイルスを急激に増殖させます。
ちなみに一個のウイルスが24時間後には10億個に増えるほどの猛烈なものです。
そうして次々に細胞に侵入感染、発病となります。
そのウイルスを抗体が迎え撃ちます。
まず血液中のマクロファージ(貪食細胞)が抗ウイルスのたんぱく質を出して防ぎ、その情報を抗体のNK細胞、キラーT細胞、B細胞などに送り、これらの抗体細胞がインフルエンザウイルスがとりついた細胞を破壊します。
ことに分泌型の免疫グロブリンIgAは粘膜で増殖するウイルスを抑えます。
そうしてこのウイルスの形を記憶し、新たな抗体を作り免疫力を高めます。
このように私たちの体はウイルスという異物に対し徹底的に抗戦する体制ができていて防ぎます。
ですから発病する人は、その防御体制の弱い人か、抗体を作ることのできない生活をしている人と言えます。
乱れた生活で睡眠不足、食事の不規則、行動の不安定などの人や、糖尿病など慢性疾患がある人は、抗体免疫の獲得力が弱いため、感染に極力注意が必要です。
すべての感染症の病気がそうですが、発病するか否かは病原菌やウイルスと肉体が持っている免疫力の力関係と思います。
さて、お隣の韓国、中国から鳥インフルエンザ発生のニュースが伝わり、非常に困ったことです。
日本とは指呼のの距離で、まして渡り鳥の発生死亡記事を見る度に、国境のない渡り鳥たちの飛来がまぬかれぬことへの恐怖を感じます。
不幸にも鳥インフルエンザが発生し、いま流行しているインフルエンザウイルスと交雑した場合、変異株となり強毒株となって人間に感染しないとは言い切れません。
事実、中国ではかなりの被害が出ています。
鳥インフルエンザウイルスは腸内で繁殖が顕著のようです。
対策の一つは腸管免疫の免疫グロブリンをしっかり作ることです。
そのためプロバイオティックの乳酸菌や納豆菌などを食べて、健全な腸内環境を作ることをお勧めします。
もし感染したら、迷わず医者の門をくぐり相談することです。