〜木の芽時に出る一過性の精神不安定症候群〜
(真面目で責任感あり、几帳面で繊細な人が)
日本には長くまとまった休暇が、カレンダーを見ますと二回あります。
新年を迎える12月末から1月3日までの6日間と、4月の29日
(昭和の日)から始まる「ゴールデンウイーク」と呼ばれる連休です。
ことに5月の連休は、上手に有給休暇を取れば、サラリーマンは今年
(2015年)などは8日間から12日間も休めます。
こんな長い休暇を取って旅行をしたり遊んだり、または家でのんびり体を休めますと、
休暇が終わったあと、生活のリズムが狂い、仕事に従事しようとすると、
やる気がなかなか出ず仕事がおっくうに感じる人がいるようです。
新年の休暇ではこんな気持ちになる人は少ないが、5月連休後には多発するようです。
こんな無気力症候群を指して「五月病」と下世話言葉で呼んでいます。
「どうも体調がおもわしくなく、やる気が起きず疲れやすい」
なかには、吐き気、めまい、耳鳴り、動悸、冷や汗、体が冷える、
手足が冷たい、足がだるい、下痢と便秘、食欲不振、寝汗などなど。
こんな症状を訴える人が、ことに5月に多くなるようです。
ということは、5月に体調不良と、無気力症候群が多発する何か
特別要因がある筈です。
昔から山々や田園が新緑に燃えるこのころ「木の芽時(このめどき)」の
季節と言い、精神状態の不安定で、気が変になる人が出ると言われていました。
精神の不安定が季節的要因だとしたら、春先の3月から4月。
そして5月初旬まで、気候の変動が激しく冬の寒さと夏の暑さが1日おきに
やってくるような、寒暖差の激しい季節が続いたことにあるようです。
この変化に体が対応できず、知らずの内に体調不良、自律神経に乱れが
生じるのが一つの原因のようです。
精神的の緊張は交感神経の緊張であって、交感神経の緊張は血管の収縮を
呼び、血管の収縮は血圧上昇となり、血圧の不安定は細胞活性の不順となり、
細胞の不活性は老化となり、さらに体調不良と精神不安定を倍加します。
さらに加えて、3月から4月にかけて日本では、新旧が交代する年度末と
初年度が重なり、入学進学、卒業就職、入社退社、転職転勤、転居移動、
昇進降格など、大きな生活の変化が起きる季節です。
この生活の変化や転機も、精神的動揺を起こす事柄で、喜びと悲しみ、
希望と不安とが入り混じり、誰でもが神経を高ぶらせる季節です。
この緊張感が、疲れとなったり、重荷となったり、または期待外れとなったりしまうと、
交感神経の働きが活発化し、精神的不安感となり心のバランスが崩れ、
中にはうつ病的な症状になる「適応障害」と言われる、病気になります。
また新年から4か月過ぎ、冬の寒さの中、頑張った肉体と精神が疲れを
覚えてくる頃、気候の変化や生活環境の変化など、2重3重の変化が
重なりそれに対応できず、心と体がギブアップします。
これらすべての症候群を「五月病」と称するようです。
このような神経の疲れは、真面目で几帳面また責任感のある人が多く
感じるようで、中には一所懸命に仕事をやり終え、目的を遂げた達成感が、
次の目標を失って鬱になる人もいると聞きました。
逆にちゃらんぽらんでいい加減な人間には、精神的負担と緊張が少ないようで、
気候の変化も職場の変化も気にならないようです。
それゆえ「五月病」ははたから見ると
「なぜ5月になると体調がすぐれないの?」と疑問を持たれます。
「季節は暑くも寒くもなく最高で、仕事もスポーツもレクレーションも
快調な時なのに」誰が見たって不思議です。
しかし現代人は、世の動きが目まぐるしく、刺激と情報が多すぎ、
それに対応しきれない人も多く出るようです。
対応できないと、世の動きから逃避したくなります。
また無関心でいることが心の安定となります。
そうなると一種の引きこもり症候群で、社会性を失い精神的に不安定となり、
一種のうつ病となりますが、そんな現代社会だけに「五月病」も多く出るのでしょう。
やがて気候にも慣れ、生活の変化も適応でき、疲れも取れればいつの間にか
「五月病」症候群から抜け出し、肉体も精神も立ち直ります。
ある笑い話ではないが「五月病は6月になれば治る」が定説のようです。
わたしは幸い「五月病」は過去も現在も感じたことありません。
ずぼらでいい加減な怠け者で不真面目だからでしょう。
いずれにしろ83歳の今日まで元気でいられたことの感謝してます。
そんな感謝の気持ちが、精神も肉体にも良い影響を与え「五月病」も忘れていると思います。