〜韓国畜産の崩壊か?宮崎県発生数の10倍の危機〜
(見直さないといけない、防疫対策の常識)
新年早々韓国から悪い情報が飛び込んできました。
昨年11月頃から韓国慶尚北道の安東(あんとん)で発生していた、口蹄疫が全国的に感染蔓延したというニュースです。
私どもは韓国の農畜産関係とのつながりが深く、昨年末から代理店のいくつかと絶えず連絡を取り合っていましたが、今年早々の連絡では、口蹄疫は全国各地に広がり、全土が発症地帯となっため、その地帯への訪問もかなわず、さらにわが社の商品「フミン物質」と「フルボ液」「大豆発酵飼料」が出荷も出来ない状態で、大きなダメージが出そうだと言うものでした。
実際、今月(1月)11日の情報では、牛11万1千頭、豚約130万頭、その他偶蹄類のヤギ3千頭、鹿1千頭など合計で140万頭以上の殺処分を行っています。
この数量は、昨年宮崎県の口蹄疫で殺処分した数量30万頭弱の5倍近く、この数はまだまだ終息にまで至っていない頭数だけに、今後何十万、何百万になるか余談が許されない状態です。
韓国の飼育頭数は大体、豚1000万頭、牛300万頭ほどですので、約1割以上の牛豚が失われたことになります。
もし被害が継続し防疫体制が後手後手に回った場合、2割、3割の300万頭以上の牛豚、その他の偶蹄類が失われ、韓国の畜産業は今後立ち直ることが出来るか心配になります。
ちなみにあれだけ連日大騒ぎして報道された宮崎県の口蹄疫での被害は、日本全国の3000万頭の豚飼育頭数の0.1割(1%)にしかなりません。
韓国の被害が甚大なことがそれだけでも想像できます。
さらにサルトーゼ取り扱い代理店からは正月早々、鳥インフルエンザ(AI)が、全羅北道の益山(いくさん)で発生し、全群2万5000羽殺処分して、他への感染拡大を防いでいるとの報告が入りました。
この益山市には、韓国最大手のブロイラー生産会社H社があり、今年からわが社の生菌飼料サルトーゼを使用し、無薬鶏肉(有機鶏肉)を生産する計画があっただけに、私どもへは衝撃的ニュースでした。
さらに不幸なことは、発生農場がH社の契約農場といいますから、影響が皆無とはいえません。
新年早々挨拶を含め、発生状況をH社の担当役員にメールしましたら、発生は1農家だけで拡大していないので、安心してくださいとの返事がありましたが、このような伝染力の激しい疾病は、どんな形で感染しているか予断が許せないもので、まだ1、2ヶ月の観察は必要ですし、目に見えない感染が今後発表されるのを恐れます。
まして韓国はアヒル生産が盛んな国で、飼育羽数も半端ではありません。
このアヒルはご存知のよう水鳥です。
鳥インフルエンザのウイルスはそもそも水鳥が持っているウイルスですが、水鳥への感染では症状も緩慢で、鶏に感染し大量死を引き起こすような状態にはなりません。
なかには、感染し保菌鳥となりながら、症状が表面化しない不顕生な感染アヒルとして生息し、周囲にウイルスをばら撒き、感染源になることがあるので困ります。
もっとも感染が激しく、ウイルスが強度のときはアヒルも症状が顕著に表面化し、群飼育していますと、全群が大量死いたします。
今回の発症も、アヒルを飼育し同時に鶏の種鶏農場を持っていた契約農家での発症のようで、検査の結果アヒルからの感染であることが判明し、アヒルも鶏も同時に斃死(へいし:のたれ死に)が出ました。
それではこのアヒルはいつ何処でウイルスを拾ったのか、それが問題になります。
韓国政府は北方のシベリアか中国大陸から飛んできた渡り鳥が、ウイルスの運び屋であったと断定しています。
この渡り鳥はほとんど水鳥で、鶴、白鳥、なべ鶴、鴨、おしどり、などなどが、越冬地としての韓国や日本へ、シベリアとか中国奥地の湖沼から渡ってきます。
この水鳥の多くが何らかの条件で、夏季の生息場所で鳥インフルエンザウイルスに感染し、不顕性のまま保菌鳥として韓国や日本に飛来し、以前から生息していた水鳥のアヒルに感染させ、そのアヒルから鶏へと感染が拡大したと考えられます。
日本はアヒルの飼育は少ないですが、観賞用の水鳥は各地の遊園地や動物園、また手近かな公園などで飼育されていますし、また越冬地として集団で冬場だけ生息する地域が日本の各所にあります。
もし渡り鳥の水鳥が遊園地や公園の水辺で骨を休めれば、観賞用の水鳥に感染の危険性も出ます。
ご承知のよう、日本各地の、渡り鳥飛来地で死んだ水鳥の死骸から、鳥インフルエンザのウイルスが検出されている報道を目にすることが沢山ありますが、もしかしたら在来の日本生まれの水鳥が混ざっているかもしれません。
もし死骸がすべて渡り鳥であった場合も、その周辺の養鶏産業に与える、危険性は計り知れません、今日現在1月中旬まで鶏での感染発生の事実が無いことを大変幸運だと思います。
さて、鳥インフルエンザの感染経路は解明されても、大被害を出し続けている口蹄疫の感染は何処から来たのか疑問になります。
渡り鳥は空を飛んでウイルスを運びますが、豚や牛は空を飛びません。
もし自然にウイルスが空を飛んできたと想定しますと、常時口蹄疫発症の中国や東南アジアの国々から、季節風に乗って運ばれてきたことになります。
宮崎の口蹄疫の感染原因に、中国からの黄砂説があったことも事実です。
こうなると鳥インフルエンザの渡り鳥と同様、防ぎようがありません。
参考に申しますと、韓国の口蹄疫のウイルス株は宮崎で発生したO型で、DNA鑑定でもそっくり同じであったとの報告があります。
宮崎から季節風が吹いたとも思われません。
それより確実な感染源と疑わしいことは、宮崎と韓国空港を結んでいる飛行機と搭乗者が、キャリアとして持ち込んだと見たほうが納得できます。
ただしそれも推測です。
ただ宮崎では、宮崎県だけで他の地方には感染させなかった、すばやい対応と完全な防疫体制が功を奏しましたが、韓国ではそれが全国に蔓延する恐れとなっています。
はなはだ言いにくいことですが、私は韓国の家畜防疫体制と行動力の貧しさと、飼育農場の畜産人や飼料メーカー、薬品メーカーなど、関連産業全体の病気や防疫に対する心構えの問題だと思います。
私は40年以上韓国の畜産農家と付き合いを重ねていまして、たえず感じている危惧がありました。
それは鶏でも豚でも同じですが、良い成績を出すための、飼育管理技術と病気対策に対する発想の貧しさです。
成績が悪いと、餌が悪い雛が悪い、寒かったから暑かったからと他の原因にしてしまう、最後には「韓国はこれでいいんです」「ケンチャナヨ(かまいません)」で結論をつけ、病気対策の根本解決とか、成績を良くしようとする努力と知恵が出てきません。
昨年秋、韓国のある養豚農家を訪問し「糞尿はどうしていますか」の質問に「業者が来て生糞でトラックに積んで捨てに行きます」「何処へですか」「多分海でしょう」との返事でした。
その理由が、自分で処理し浄化槽や発酵装置をもって処分するより、コストが安いからとのことです。
韓国の多くの養豚業者が、このような糞廃棄業者に委託し、海上投棄か産廃投棄所かに捨てに行くようです。
これは大変なことです。
海上投棄は海の汚れになりますし、生糞を積んで道路上を運搬することは、病原菌を振りまきつつ、病気の運び屋となっていることです。
しかし養豚農家も運搬屋も、そんな心配は決してしません。
自分たちの利益が優先して、目に見えない危険は考慮の外です。
またそんな危険があることを感じたことも無いかもしれません。
それが畜産業の常識でした。
今回、同じような行為が、口蹄疫発生農場が行っていたとしたら、危ないウイルスをあちこちに撒き散らしたことが、全国規模で発生した原因ではないかと心配しているのは、私一人だけではないと思います。
さあ、そこでどうしたらいいのか、韓国が抱えている問題の解決は、次回に譲ります。