〜狭い坑道の中トイレ問題の解決〜
(最も進んだ消臭、凝固剤エコマイピットの寄贈)
先週の金曜日、2010年9月3日の早朝7時のNHKニュース「おはよう日本」で私どもの取り扱い商品「エコマイピット」が紹介されました。
紹介された理由は、南米チリ北部で起きた鉱山の落盤事故で33名の作業員が、700メートルの地下に閉じ込められた事件を、読者の皆様もご存知と思いますが、この事件と関連しています。
この生存者の排泄物の処理に役立ってもらおうと、私どもの取扱商品のひとつ、災害用の簡易トイレに使用する消臭凝固剤を、チリ大使館を通して寄贈を打診したところ、大変ありがたいとお請けいただき、それがNHKのニュースで取り上げられました。
地球上では日本の裏側にあるチリの、ひとつの鉱山会社の落盤事故で、日本人一人一人にはそれほどの関心も、心配もありませんが、何処の国の人々だろうと、災害に会われた方々の苦しみと不安は人間みな同じです。
この8月5日に起きた落盤事故から、奇跡的に生存していた33人と連絡が取れたのが8月22日と言いますからその間17日、生存者のその間の不安は計り知れないものだったでしょう。
聞くところによりますと、地上と連絡が取れなかった17日間の間、非常用として用意されていた、飲料水と缶詰を少しずつ分け合って、救出を期待し励ましあっていたようです。
さいわいに50平方メートルほどの避難所には、空気が供給され、今述べたように水と若干の食料があったこと、バッテリーで明かりが少し確保されていたことが、33人無事生き延びていたのでしょう。
地上にいる救助隊の空気孔拡張の作業で、地下に伸びている一本のパイプから、生存者の肉声が聞こえたときは大騒ぎとなりました。
その後の動きは、新聞テレビなどで刻々と報道されますので、多くの方の知るところとなっています。
「奇跡だ」「神のご加護だ」「全員救出できれば、今年度いや今世紀最大のニュ−ス」など、人々の関心が高まりましたが、なんせ700メートルの地底、救出孔を掘るにも多くの時間とエネルギーを費やします。
さらにやわらかく弱い地盤も多く、掘削中に再度の落盤が起きないとはいえません。
そんなこんなで救出まで4ヶ月の時間を要すると言われています。
勿論この見通しは、地下の生存者には伝えません。
救出を迅速に行っている事実だけを伝え、閉塞された地下でいかに体調と、精神の健全を保てるかの、カウンセリングを地上の救援隊は行っています。
食料も水も十分供給し、15センチほどの筒の中を通せる、カメラ、ラジカセ、家族の手紙、そして食料飲料水など、様々なケアに余念がないと思います。
さてそこで問題がトイレです。
広い坑道の中の隔離されたところに、排泄場所を決めているようですが、33人が行う排泄量は決して少なくありません。
またその臭気とガス発生は、想像するだけで吐き気をもよおすような状態でしょう。
坑道内は33度から35度と真夏並みの温度と、湿度90%と言う過酷な環境では、排泄物は乾燥も出来ず、ただ腐敗するだけとなります。
このような事態を想像し、私たちは排泄物を固形化し、臭気を分解する、災害用に開発した「エコマイピット」の、寄贈を申し入れました。
チリ大使館もこの排泄物の問題は心配していただけに、大変喜ばれたことが、私たちの喜びでもあります。
この商品は、製紙でお馴染みの王子製紙の子会社、王子木材緑化が開発し、私どももその販売をお手伝いしている仲間で、さらに付け加えれば糞尿の臭気を完全に分解する、当社が販売するフミン酸、フルボ酸が重要な役目となって、この商品が構成されています。
凝固する成分は高分子吸収体、一般にはポリマー(Plymer)と呼ばれているもので。赤ちゃんのオムツなどに使用されている安全なものです。
10グラムほどの紙パックに詰められた粉末で、排便の後すぐにこの粉をかけますとたちまちに固まり、あの独特な臭いも分解される優れもので、さらに黒褐色に変色しますので、一見現物が何であったか判断できないほどの変わりようになります。
ことに消臭のメカニズムは、活性炭のように細かい気孔で吸着するのではなく、においの元凶の有機質を化学分解し、水と炭酸ガスに変えてしまう作用で、臭いだけでなく排泄物の腐敗を抑制します。
地下700メートルで、どのような状態で大便小便を排泄していたか知れませんが、もし可能ならビニール袋を差し入れ、その中に排泄し、この粉を掛けて固め、10センチのパイプ管を通して地上に吊り上げれば、地下の糞尿の非衛生が解消にもなります。
とにかく人間が出す排泄物ですが、食べ物のタンパク質、脂肪、炭水化物などは、アンモニアガス、メチルブタン、トリメチルアミン、硫化水素、それに糞の臭さの元凶インドール、スカトールなどさまざまの化学物質を発生する有機質です。
さらにこれらのガスには、健康を害する物質も多く、もしアンモニアガスの高濃度にさらされますと、呼吸器官から視力にまで大きなダメージを与えます。
もちろんアンモニアだけでなくすべての揮発性のガスは人体に影響します。
そのよう排泄物公害から33人の健康を守るのも、目に見えない救出援助だと思います。
いずれにしろ、15センチのの筒が唯一のライフラインだけに、このライフラインを上手に使い、何日後かの無事救出を心から願います。
最後に、付け加えますと、救出のスケジュール予測は、約4ヶ月と言われていますので、33人の4か月分の「エコマイピット」を寄贈したことも付け加えます。